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優しい罠と共犯者 |
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「……」
無言で目の前に突き出された皿を見ると、サンジは心地よい風に吹かれた時のそのままの笑顔を目の前の相手に返した。 「おーテメェにしてはいい選択だなぁ」 考えた上でなのかそれともたまたまなのかどちらかは分らなかったが、 目の前に更に盛られたのはチーズやマリネの乗ったこんがり焼けたフランスパンや ピクルスなどを小さく食べやすく且つ可愛らしく飾り串で纏めたツマミで、 野原に相応しくない獲物を三本ぶら下げた、野原みたいな爽やかな頭をした相手はあまり好まないツマミであった。 「メインを取られちまったらしいからな」 「…何の事だ?」 ニヤリと笑うゾロにサンジは分らない振りで返す。 「で、チョッパーは何だって?」 「ああ、あん怪我はどっかで罠に引っかかったらしい。まぁ、不幸中の幸いか大した怪我は…」
立て板に水の如く喋っていたサンジだが急に口を閉ざし、がばがばと勢いよく酒を煽り始める。 「もったいねぇ。そう強かねぇんだから、やめておけ」 グラスを奪われ、口にサーモンマリネを突っ込まれたサンジは目を白黒させながらモゴモゴと必死に咀嚼する。 「てめぇ、何しやがる!」 「サービスだ」 けろりと言い放ち隣に座る剣士に言い返す元気もなくサンジは顔を逸らす。 「あ〜畜生ッ」 そう唸るとサンジはガシガシと髪を掻き毟る。 「…同じもんよこすな、タコ」 そう悪態をつきながらもサンジはもぐもぐと食べる。 「どこから見てた」 もごもご微かに口を動かしながらサンジが聞く。 「先刻まで酒が美味いだの何だだの騒いでたオメェが急に静かになったから、何事かと思ってよ。見たらあん狐が肉狙ってた」 「…そこまで見てたんなら肉とられないようにフォローでも何でもしろよ…」
「ああ?わざとだろ?」 「はぁ?」 「あん狐が肉狙ってるって気が付いた途端にテメェはわざと気ィ抜いただろうが。だから邪魔しないように俺も気配消しといた」 それでよかったんだろう? そしてその機嫌のよさは、指の間で短くなってしまった煙草を一度深く吸い上げ思いきり青空に向かって吐いて喋ったサンジの、 「俺ァ、コックだからな」 というお決まりの台詞を吐いた後の笑顔で十二分に察する事ができたのだった。 END |
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***オマケ 「コックは食いたい奴には食わしてくれるんだよな?」 「あ、ああ?何だ!お前リクエストあるのか?」 珍しいゾロの申し出にサンジが勢いよく食い付いた。 「コレが食いてぇ」 ゾロ指差した空間にはそのヒントになるものなど何もなく、サンジは意味が分らず首をかしげた。 「なんだよ?テメェまさかこんな何にもないトコ指して美味い空気が食いたいなんて言うんじゃねぇだろうな?あぁッ」 簡単に切れたサンジには頓着せず、ゾロは首を振った。 「そんなんじゃねぇ、コレが食いたい」 今度は、指をしっかりと空気以外に触れさせた。 「は?」 指先をみれば其処にあるのは自分の鎖骨で。サンジはポカンと口を開けた。 「いただきます」 かぷりと鎖骨をやんわりと食まれ少々痛みが走る位に吸われて暫く、サンジはようようの事で怒声をあげた。 「こんの変態クソ剣士!まっ昼間からサカッってんじゃねぇ!」 昼間から調子に乗ってしまった不届き者にアンチマナーキックが炸裂したのは言うまでも無い事で。
更には船に戻る頃にはゆったりと風を受けていたサンジの上着が見事なまでに上までジッパーが閉められていた。 ***END * あの開いてる胸元にムラムラきた人〜!ハイハイハイハイ! 2003.02.24 * TOPからTEXTに移動にあたり、ちょこちょこっと。 2003.02.28 |